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株式売却判断

株式の下落を、正確に予測することは不可能だと考えますが、それでは身も蓋もありませんので、少しでも利益積みあげていく方法として、株式売却判断の私見を述べさせていただきます。

私の考え方は基本順張りで、株価が上がっている場合にはそのまま保有し続け、株価が下がったら売却します。

株価が上がっている時は、たとえ指標上割高になったとしても、指標は過去の数字を元に計算される為、好材料が隠れている場合があるからです。上がっている時は保有し続け含み利益を蓄え暴落に備えます。

株価が下がった時とは、株価移動平均線(短期は日足、中期は週足の5週移動・13週移動)の節目と言われる線を切って下がった場合などで判断します。(日々の上下だけでは判断しません)

暴落時は値段が付いて売れる場合はそのまま売却しますが、売り気配などで売れない場合もしくはストップ安などの場合は、翌日寄付で売却します。暴落の翌日の寄付は反発で始まるケースもある為です。翌日寄付から下がる場合は、さらに状況が悪い状態なのでそのまま売却します。暴落時は意外と人は売れないものです。ましてや大口投資家など自分の売りで株価を下げてしまう為いっぺんには売れません。(そのため先物売りなどでヘッジしたりします)売れ残った株の売却が続き、株価は下落していく傾向となります。

暴落後、すでに自身が耐えられないくらい株価が下がってしまった場合、株価の本源的価値(1株純資産・1株利益・成長性他)に見合った株価と判断できればそのまま保有しても良いでしょう。

上がると思って買ってから株価が下がった時は自分の判断が違っていたと思い売却します。状況は良いのにだらだら下り続ける時は特に注意が必要です。隠された悪材料が隠れているケースがあります。(増資・利益の下方修正、粉飾・特別損失など)

下がったところを買い、上がったところで売ることは、実際やってみると非常に難しく、ややもすれば、薄利で売却し、残った銘柄は含み損を抱えたまま塩漬けになりかねません。買値から何%上がったら売りとか、売値から何%下がったら買いとかルールを決めるのもあまりお勧めでできません。株価は個人の買値を考慮してくれないからです。

株価が下がっている場合は、リスクを減らす為にも株式を売却し、ナンピン買いなどでリスクを増やすことは避けるのが良いと思います。

株式売却後にその株価が上がり始めたら、また買い始めれば良いですし、買えないくらい上がってしまったら、また次の銘柄を探せば良いだけだと思います。

上がっている時は保有し続け、保有株が下がったら売り、買付後下がり続けたら売るという方法は、「株は安く買って高く売る」という考えとは反する考え方だと思いますが、損失を少なくし、結果的に利益は大きく得ることに適していると考えます。

銘柄買付判断主な10の注目点6

6顧客、株主、社員、取引先への利益配分が適正か

顧客(販売先)、社員(役員含む)、取引先(仕入先)に適正な利益配分が行われることにより企業利益の最大化が図られることが望ましいと思います。

適正な利益の配分が行われているかは、原価率、営業利益率、経常利益率、純利益等の指標の推移から確認していきます。

株主への配当は、企業の成長性や健全性を判断したうえで、やみくもに増配だけを求めるのではなく、バランス良く配分されることが必要だと思います。

株主還元の名目での自社株買いは、株価が1株純資産を下回っている場合には有効だと思いますが、株価が1株純資産を大きく上回る銘柄の自社株買いは、企業価値にとってマイナスの影響をもたらす可能性があると思います。
資本効率を求めることは重要ではありますが、行き過ぎにならぬようバランスの取れた資本政策が重要だと思います。

株価が1株純資産を大きく上回る銘柄は、成長率を考慮した上、成長投資の為の資金として時価での公募増資を行い1株純資産を高めることも検討して良いのではないでしょうか。

上場企業には自社株買いや公募増資、親子上場の解消やIPO、M&Aなど様々な資本政策が提案されます。経営者が、顧客、株主、社員、取引先などステークホルダーにとっての最適な判断を行なっているか見ていきたいと思います。

銘柄買付判断主な10の注目点5

5株価が極端な割高割安になっていないか

株価の割高割安は、どうやって判断すれば良いでしょうか。私は主に、①利益面と②資産面から判断します。

①利益面:長期金利・株式益回り・利益等の成長率を見ます。

長期金利:10年国債金利、社債金利(投資適格債)

株式益回り:予想1株税引後利益➗株価✖️100(予想は来季予想、税引後利益は決算短信や会社四季報他から確認する。特別損益があれば除外する等考慮する)

10年国債金利と株式益回りの差は5%以上は欲しいと思います。(株での運用は低リスクな債券運用より5%以上の利益を期待したい)

例えば10年国債金利が1.5%〜2%の場合、元本の変動する株式で運用するならば株式益回り7%は欲しいと思います。また株式益回りが社債等の金利を下回るような銘柄は割高だと思います。

上記は安定成長銘柄の場合。営業利益等が高成長銘柄の場合は、10年国債金利と株式益回りの差が5%を下回っても問題無いと思います。

②資産面:会社は資産があるだけでは運営できませんので、会社が利益を上げているということは、1株純資産に1株税引後利益の5年から10年分のプレミアム(企業のブランド価値≒のれん)が想定株価に反映されてもおかしくないと考えます。

株式益回りが7%と仮定すると、5年〜10年✖️7%=35%〜70%程度のプレミアムとなります。1株純資産➕プレミアムが想定株価になります。

例:1株純資産1000円、株式益回り7%=70円(予想1株税引後利益)と仮定

予想1株税引後利益の5年分〜10年分:

70円✖️5年〜10年=350円〜700円

想定株価:1000円➕350円〜700円=1350円〜1700円

上記の場合、想定株価が1350円から1700円(株価純資産倍率1.35倍〜1.7倍)である為、想定株価以下ならば割安と判断します。

株価純資産倍率:株価➗1株純資産

利益が倍々ゲームのような会社は、予想株式益回りも年々増大しますので、プレミアムが1株純利益の20年以上であっても、おかしくはありませんが、通常、予想税引後利益が10年分以上になると徐々に割高感が増していきます。成長性との兼ね合いでの判断が必要かと思います。

利益が赤字の場合は純資産がその分毀損していきますので、株価純資産倍率が1倍を割れても割安とは判断できない場合があります。

①②の数字は私の主観ですので、株式に期待する利益の多寡により想定する株式益回りやプレミアムが変わりますが、株価の極端な割高割安を判断するうえでの一助としてご活用いただければと思います。

※注意したいのは、極端に割安に放置されている銘柄は、オープンになっていない悪材料や減損などの含み損が潜んでいる場合があります。逆に極端に割高な場合には、好材料や土地などの含み益が隠れている場合があります。

極端な割安銘柄を買う場合は、下げた所を買おうとせず、悪材料が出て割安の理由が明らかになってからか上げトレンドになってから買出動するのが良いと思います。逆に極端に割高銘柄を売る場合は、好材料発表内容確認後に判断又は下げトレンドになってから売り出動してみてはいかがかと思います。

※残念ながら買付又は売付した翌日以降に反転し、含み損になった場合は追撃せず、見込み違いを認め早めに反対売買し、その銘柄からの撤退を考えるべきだと思います。

銘柄買付判断主な10の注目点4

4会社に夢や将来性があるか

商品やサービスに独創性があり、将来的にも社会が必要としていることは、会社の成長性にとって重要なことだと考えます。夢や将来性がない会社は、いかに株主価値が割安だとしても中長期の投資には向かないと思います。

夢や将来性を判断するのに、残念ながら具体的数字での判断は困難です。数字は過去のものであり、予測数字も過去のデータから算出されたものが多いからです。

夢や将来性は世間一般から判断するものと個別の会社から判断されます。世間一般からの判断は、ネット・新聞・雑誌・テレビ・本など様々な媒体から配信されたニュースを参考に関連銘柄をネットで検索するのがお手軽です。

個別の会社からの判断は、会社四季報・会社のホームページにある会社説明会資料・有価証券報告書などの閲覧が有効です。読みこなすのは最初大変ですが読み慣れるとだんだん頭に入ってきます。

株主になったあとは、株主総会、会社見学、会社説明会への出席も良いかと思います。なるべく加工された情報ではなく、一次情報に近いものから選んで下さい。

ただし夢や将来性だけで株価が上がるわけではありません。いくら夢や将来性があっても、すぐに業績に繋がらなかったり、急成長したとしても何度も増資を行い既存の株式の利益を希薄化することがある為です。

重要なのはあくまでも投資判断の一部だということを忘れず、総合的に判断して投資を行なっていただきたいと思います。

銘柄買付判断主な10の注目点3

3世間から求められている会社か

会社が成長する為には、世間から求められている商品、サービスの提供が必要です。実際に自分が欲しいと思う商品、社会にこれから必要と思う商品・サービスに気づいたら、関連する会社の事業内容、業績、資産、株価の割高割安、株価チャートを確認してみて下さい。

銘柄買付判断主な10の注目点2

2会社として適正な統制が取れているか(コーポレートガバナンス)

①適正な統制(コーポレートガバナンス)が、構築されていない場合、作業手順も属人ベースになってしまい、不正が起こり易くなる。また不正が起きた場合の発見も遅れてしまい、会社の信頼を大きく毀損することになる。

②適正な統制の確認は、外部からは非常に難しく、企業ホームページのコーポレートガバナンス報告書の整備や過去の不祥事の事例により企業文化を確認するしかないと考えます。

銘柄買付判断主な10の注目点1

1経営者が誠実かつ有能か

①経営者の誠実さが大事なのは、業績を正確に発表しないことは論外ですが、業績予想が恣意的になり、強気・弱気に出過ぎることがある為です。

経営者が自分の保身の為に経営を行っていないかを確認します。

内部統制が有効に機能していても、経営者が不正を行えば会社存亡の危機を招くことになります。

②経営者が有能かは、経営者の考え方によって会社の将来が大きく変わっていくからです。会社が不振の時ばかりでは無く、好調の場合も注意が必要です。

③誠実さ・有能さを確認するには、会社ホームページの会社説明会資料・決算短信・有価証券報告書の閲覧や株主総会・会社説明会などの出席が有効です。

銘柄買付判断主な10の注目点

1経営者が誠実かつ有能か

2会社として適正な統制が取れているか(コーポレートガバナンス)

3世間から求められている会社か

4会社に夢や将来性があるか

5株価が極端な割高割安になっていないか

6顧客、株主、社員、取引先への利益配分が適正か

7資産負債の割合が適正か

8株主への説明が誠実か

9将来への適切な投資が行われているか

10利益が伸びているか

株式買売の判断として参考にして下さい。

上記10の注目点は、銘柄買付判断においての確認点を網羅的に列挙しています。全て確認すべきとか全て良好でなくてはならないというわけではありません。調べられる範囲で幅広く確認していただき、極端なマイナス面がないか、マイナス面を上回るプラス面がないかを理解できる範囲で判断し、買付判断の一助としていただければと思います。2025年7月4日追記

株式チャートとの付き合い方

株式チャートとは、株価の動向をグラフ化したものです。現在の株価が過去に比べどの辺の位置にいるか確認するのに便利です。株価上昇・下降などの傾向を掴むことにも使えます。ただし、株価の過去の動きなので他の情報と組み合わせて使うことをお勧めします。

株式の情報が良い予想にも関わらず、株価が下がり続ける場合や悪い情報が出ていないにもか関わらず株価が下がり続ける場合には、悪い情報が隠れている可能性があります。逆に良い情報が無いにも関わらず株価が上がり続ける場合は、良い情報が隠れている可能性があります。(悪い・良い)情報の公表後、反転のタイミングとなるケースがよく見られます。

株式専門家が株式チャートを使い情報提供を行うことがよくあります。情報の出し手の考えに沿って株式チャートの期間が表示されますので、ご自身でも表示された期間以外の確認も行うことが必要です。

株価の考え方②

利益から考える

会社利益から株価を考えるには、株価を税引後予想1株あたり利益(EPSともいう)で割り100を掛けて、判断する方法があります。株式益回りと言います。

1株あたり予想利益(EPS)➗株価✖️100🟰 株式益回り(%)

例:1株あたりの予想利益70円、株価1,000

70円➗1,000円✖️100=7%

上記は株価に対し年間7%分、1株あたり純利益を上げたことになります。株価に対し年間7%の期待利益で良ければ、買っても良いと思いますし、7%以上の会社利益を期待しているのであれば、その株価では(利益上からは)買えないと判断します。

株式益回りは成長性や業種、人気度によっても違ってきますが、あくまで投資判断の一つとし活用してみて下さい。

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