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月: 2025年7月

銘柄買付判断主な10の注目点6

6顧客、株主、社員、取引先への利益配分が適正か

顧客(販売先)、社員(役員含む)、取引先(仕入先)に適正な利益配分が行われることにより企業利益の最大化が図られることが望ましいと思います。

適正な利益の配分が行われているかは、原価率、営業利益率、経常利益率、純利益等の指標の推移から確認していきます。

株主への配当は、企業の成長性や健全性を判断したうえで、やみくもに増配だけを求めるのではなく、バランス良く配分されることが必要だと思います。

株主還元の名目での自社株買いは、株価が1株純資産を下回っている場合には有効だと思いますが、株価が1株純資産を大きく上回る銘柄の自社株買いは、企業価値にとってマイナスの影響をもたらす可能性があると思います。
資本効率を求めることは重要ではありますが、行き過ぎにならぬようバランスの取れた資本政策が重要だと思います。

株価が1株純資産を大きく上回る銘柄は、成長率を考慮した上、成長投資の為の資金として時価での公募増資を行い1株純資産を高めることも検討して良いのではないでしょうか。

上場企業には自社株買いや公募増資、親子上場の解消やIPO、M&Aなど様々な資本政策が提案されます。経営者が、顧客、株主、社員、取引先などステークホルダーにとっての最適な判断を行なっているか見ていきたいと思います。

銘柄買付判断主な10の注目点5

5株価が極端な割高割安になっていないか

株価の割高割安は、どうやって判断すれば良いでしょうか。私は主に、①利益面と②資産面から判断します。

①利益面:長期金利・株式益回り・利益等の成長率を見ます。

長期金利:10年国債金利、社債金利(投資適格債)

株式益回り:予想1株税引後利益➗株価✖️100(予想は来季予想、税引後利益は決算短信や会社四季報他から確認する。特別損益があれば除外する等考慮する)

10年国債金利と株式益回りの差は5%以上は欲しいと思います。(株での運用は低リスクな債券運用より5%以上の利益を期待したい)

例えば10年国債金利が1.5%〜2%の場合、元本の変動する株式で運用するならば株式益回り7%は欲しいと思います。また株式益回りが社債等の金利を下回るような銘柄は割高だと思います。

上記は安定成長銘柄の場合。営業利益等が高成長銘柄の場合は、10年国債金利と株式益回りの差が5%を下回っても問題無いと思います。

②資産面:会社は資産があるだけでは運営できませんので、会社が利益を上げているということは、1株純資産に1株税引後利益の5年から10年分のプレミアム(企業のブランド価値≒のれん)が想定株価に反映されてもおかしくないと考えます。

株式益回りが7%と仮定すると、5年〜10年✖️7%=35%〜70%程度のプレミアムとなります。1株純資産➕プレミアムが想定株価になります。

例:1株純資産1000円、株式益回り7%=70円(予想1株税引後利益)と仮定

予想1株税引後利益の5年分〜10年分:

70円✖️5年〜10年=350円〜700円

想定株価:1000円➕350円〜700円=1350円〜1700円

上記の場合、想定株価が1350円から1700円(株価純資産倍率1.35倍〜1.7倍)である為、想定株価以下ならば割安と判断します。

株価純資産倍率:株価➗1株純資産

利益が倍々ゲームのような会社は、予想株式益回りも年々増大しますので、プレミアムが1株純利益の20年以上であっても、おかしくはありませんが、通常、予想税引後利益が10年分以上になると徐々に割高感が増していきます。成長性との兼ね合いでの判断が必要かと思います。

利益が赤字の場合は純資産がその分毀損していきますので、株価純資産倍率が1倍を割れても割安とは判断できない場合があります。

①②の数字は私の主観ですので、株式に期待する利益の多寡により想定する株式益回りやプレミアムが変わりますが、株価の極端な割高割安を判断するうえでの一助としてご活用いただければと思います。

※注意したいのは、極端に割安に放置されている銘柄は、オープンになっていない悪材料や減損などの含み損が潜んでいる場合があります。逆に極端に割高な場合には、好材料や土地などの含み益が隠れている場合があります。

極端な割安銘柄を買う場合は、下げた所を買おうとせず、悪材料が出て割安の理由が明らかになってからか上げトレンドになってから買出動するのが良いと思います。逆に極端に割高銘柄を売る場合は、好材料発表内容確認後に判断又は下げトレンドになってから売り出動してみてはいかがかと思います。

※残念ながら買付又は売付した翌日以降に反転し、含み損になった場合は追撃せず、見込み違いを認め早めに反対売買し、その銘柄からの撤退を考えるべきだと思います。